● 弾性ストッキング、弾性スリーブの選び方
弾性ストッキング、弾性スリーブは、下肢静脈瘤や深部血栓症、そしてリンパ浮腫の治療には不可欠な医療器械です。下肢静脈瘤においては症状軽減の為に単独で使用したり、ストリッピング手術や硬化療法、血管内治療などと一緒に用いられます。深部静脈手術であるレーザー手術後に発生予防や、発生後の治療に弾性ストッキングが使われます。また、リンパ浮腫の患者様には、上肢には弾性スリーブが使われ、下肢には弾性ストッキングが使われます。 しかし、弾性ストッキングやスリーブは、正しく使用しないと逆に合併症を引き起こす場合もあります。 正しいサイズ、圧を正しい期間使い、圧が弱まれば圧が正常な新しいものを使わなければ効果は得られません。 医師や弾性ストッキングコンダクターの指導の下に適正な選択、使用が必要になります。
● 弾性ストッキング・スリーブの種類
弾性ストッキング、弾性スリーブには色々な種類があります。弊社九州メディカルサービスが取り扱うSIGVARIS製のストッキングでも、膝下タイプのハイソックス、膝上タイプのハイソックス、左右の片足ストッキング、腹部まであるパンティストッキングなどがあります。弾性スリーブにも、手首まで圧迫するミトンのないスリーブや手首まで覆うミトンのついたスリーブなどがあります。
● 弾性ストッキングの形状の選び方
弾性着衣のタイプにはいくつかの種類がありますが用途や好みの応じて選びます。
[ハイソックス]
下肢静脈瘤では、膝下までのハイソックスが一番多く使われます。 理由は、色素沈着や潰瘍が下肢の1/3及び足関節部にできやすく、筋ポンプの増強にはふくらはぎの圧迫が最も大切だからです。もちろん、静脈瘤が太ももまでたくさんある方や好みでストッキングタイプやパンストタイプも選択されます。また、深部静脈血栓症の予防の多くの場合でハイソックスタイプが選択されてます。
[ストッキング、パンティストッキング、片足ストッキング]
下肢の静脈血栓後遺症やリンパ浮腫では大腿まで太くなることが多いため選択されます。 膝までのストッキングタイプについては比較的履きやすく蒸し暑さが少ないことから好まれますが、ずり落ちやすいことに注意が必要です。ストッキングの内側上部にシリコン製の滑り止めがついている製品もありますが、肌荒れを起こす場合もあるので、しっかり相談して購入してください。 片足だけ大きい方は片足ストッキングやオーダーメイドの特注製品が必要になります。なお、片足ストッキングについては太ももの付け根に食い込みやすいという注意点があります。
● つま先ありタイプとつま先なしタイプ
弾性ストッキングには、つま先が覆われているつま先ありタイプと、つま先部分が空いているつま先なしタイプがあります。どちらを選択しても構いませんが、つま先なしタイプは蒸れにくいため、暑い時期には特に好まれ、また水虫などのある方にも適しています。
● サイズの選び方
弾性ストッキングはれっきとした医療器械です。それは千差万別の使用者様の足にできるだけジャストサイズの製品をご提供して効果ある治療をおこなうためです。私たちKMSもその理由からなるべく使用者様にはジャストフィットのサイズを選んでいただきたいと思いから、非常に幅広いサイズ展開をしています。
● 圧迫圧の選択
弾性ストッキングでも弾性スリーブでも足や手の関節よりも上に行くほど圧迫力が低くなります。この構造のことを段階的圧迫構造と言います。これは、静脈血やリンパ液の心臓への還流を促進するためです。この為、それぞれの圧迫の強さは、足や手の関節部の圧迫力で表示されています。 圧迫療法において圧迫力は非常に大切で、一般的に下肢静脈瘤よりも静脈血栓後遺症やリンパ浮腫の方が高度な圧迫力が選択され、特に色素沈着・潰瘍ができた高度な下肢静脈瘤や静脈血栓後遺症、また皮膚の効果が著明なリンパ浮腫では一層高度な圧迫圧の弾性ストッキングが使用されます。 上肢リンパ浮腫には、下肢リンパ浮腫よりも1ランク下の圧迫圧が選択されます。
20mmhg未満:深部静脈血栓症予防、静脈瘤の予防、健常者、他疾患による浮腫 20~30mmhg:経度静脈瘤、妊娠時静脈瘤、高齢者静脈瘤、小静脈瘤への硬化療法後、上肢リンパ浮腫 30~40mmhg:下肢静脈瘤、硬化療法後、静脈瘤血栓後遺症(予防と治療)、リンパ浮腫(STAGE1,2早期)、高度上肢リンパ浮腫 40~50mmhg:高度の皮膚栄養障害のある静脈瘤、静脈血栓後遺症、リンパ浮腫(STAGE2晩期、STAGE3) 50mmhg以上:高度リンパ浮腫
● 伸び硬度の選択
弾性着衣は、伸び硬度が大切です。伸び硬度は、その伸縮性によって決められますが、伸び硬度の高い(伸びにくい)製品は筋ポンプ作用の増強効果が大きいことから高度のリンパ浮腫や静脈血栓後遺症(血栓後遺症候群)に応用されます。
● 重ね着の応用
高齢者や関節障害のある患者様は、強い圧迫力の弾性ストッキングを履くことは容易ではありません。このような時には比較的圧の弱い圧迫圧の弾性ストッキングを2枚重ね履きします。同じ圧迫圧の弾性ストッキングを2枚重ね履きすることで、圧迫圧が1枚履いた場合の1.7倍から2倍になります。つまり圧迫圧が弱くても2枚重ねて履くことで強い圧迫圧を得ることができます。
-> 弊社取扱いSIGVARIS弾性ストッキングのカタログはこちら
-> SIGVARISのストッキングのご購入方法については、 九州メディカルサービス(株)東京営業所 TEL (03) 3863 - 8028 までお電話または、問い合わせページよりお問い合わせ下さい。
● 弾性ストッキングを簡単に履くには
弾性ストッキングは圧迫力が強い為、履くことにたいへん労力を使う靴下です。朝のお出かけの際に30分かけて履くということもよくある話です。そんな場合に誰でもどこでも簡単に装着を補助するのがARION社製品です。
-> ARION商品ページ
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